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日米包括経済協議と日本側の対応その1(貿易摩擦シリーズ)

 日米包括経済協議と日本側の対応

・知的所有権

 日米包括経済協議とは、日米間の貿易不均衡を是正するために、主に日本の貿易障壁や国内経済問題について話し合う場です。1989年9月に発足した日米構造協議を1993年の日米首脳会議で拡大し包括経済協議としました。

 知的所有権は高度に発達した経済社会において、発明、デザイン、ノウハウ、人間の知的創造活動の産物が経済活動において重要な役割を果たしていることから、それらの創造活動の促進と保護を目的とした権利です。

 国際貿易においても、国際的に取引される商品やサービスの価値に占める、これらの知的財産の価値が高まったことから、知的財産の保護が不十分な場合には貿易秩序に影響する恐れがあります。そのため、日米包括経済協議ではまず知的所有権について話し合われました。

 その背景には、米国は日本からのハイテク製品の対米輸出が急増したことなどもあり、貿易赤字が拡大しハイテク製品の国際競争力の低下が問題となっていました。また、特許の分野においても米国企業の相対的位置が低下していたため、米国はハイテク分野の国際競争力の回復を目指していました。

 また、レーガン政権が行ったレーガノミクスに基づく改革で米国は景気回復を実現させましたが、結果としてみると米国の製造業の国際競争力の回復というよりも金融工学の発達とIT分野の革新によるものでした。
 
 日本における特許申請の仕組みについても米国側から批判が上がっていました。1990年に世界で初めて特許と実用新案について電子出願することが出来るようになります。当時普及し始めたワープロによる電子出願が受け付けられるようになり、特許情報の電子化処理が進められました。このように一見スムーズにいきそうな流れですが、出願に関する仕組みに問題がありました。

 日米経済包括協議の中で最も大きなテーマは日本における特許審査期間が極めて長く、意図的に米国からの特許出願の審査を遅延させているというものでした。

 そのため、1993年実用新案法改正では、無審査登録制度の導入が行われ、1994年の特許法改正では日米包括協議の合意に対応するものとして、それまでの「付与前意義申し立て」を「付与後の異議申し立て」に変更し、英語で出願できる外国語書面出願を導入しました。また、GATT・TRIPS協定に対応するため、特許権の存続期間を出願から20年にする改正などを行いました。

 無審査登録制度とは、平成6年以降に実用新案登録を出願された考案を対象として、方式審査及び一定の基礎的要件についてのみ審査を行い、実体検査を行う事なく実用新案権の登録がなされることです。

 付与前意義申し立て制度があることにより、特許付与に至るまでに時間がかかりすぎるという問題があり、付与後に異議を申し立てる制度に変更されることにより、時間短縮をする狙いがありました。

 このように米国側は日本側に対し自国の知的所有権を守るため、日米包括経済協議を通じて日本の特許権などの改正に成功した結果、国際競争力の回復に至りました。これらの流れは米国の保護貿易主義によるものであり、自国産業を守るために協議が行われました。

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