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日米包括経済協議と日本側の対応その4(貿易摩擦シリーズ)

 日米包括経済協議と日本側の対応

・板ガラス分野

 1980年代から続いていた日米間の貿易不均衡の拡大によって対日貿易赤字が政治問題となっていた中で、米国は板ガラスを輸出促進品目に加え、日本市場の閉鎖性や貿易不均衡の是正を求めてきました。

 公正取引委員会は1993年の調査で板ガラスの取引において不公正はないと発表しましたが、1994年12月には板ガラス分野において日米包括経済協議は合意され、その後も米国から市場開放要請が続くことになります。

 板ガラスは競争が過熱し採算が悪化していたゼネコン(総合建設会社)などからの需要があり、安い海外の板ガラスの輸入が求められていました。当時日本市場では約45億ドルの板ガラス市場がありましたが、ほぼ30年間長らく3大メーカー(旭硝子・日本板硝子・セントラル硝子)によって支配され高度に寡占状態にありました。

 日本の公正取引委員会もこのようなガラスカルテルに対して不満を持っており、日本政府は米国とこの分野での合意に至ります。

 主な内容は、日本メーカーと流通業者は差別を行わない事や通産省は外国業者の販売量と国内シェアについて統計を取り両国が毎年その実績を審査し、ガラスの仕入先を多様化するようバイヤーに推奨することや、建設省は断熱効果がありエネルギー効率のいいガラスを使用するモデル事業を実施するといったものでした。

 当時米国メーカーはこの分野で優れたガラスを製造しており、日本のオフィスビルでは使用されることはありましたが、住宅建設にはめったに使用されることがありませんでした。

 そこで、日米での合意では輸入促進措置、複層ガラスに関する措置、民間工事に関する内外無差別措置、競争政策に関する措置などについて合意されました。

 輸入促進措置は日本において貿易イベントを開催し外国の板ガラス製造業者を支援したり、日本の建設業者や設計事務所、流通業者、工事業者及び組立業者との間でビジネス関係の拡大を促進することが行われました。 

 また、複層ガラス窓や安全ガラス窓を住宅や商業建築物に使用することを積極的に推進し、省エネルギー化を実現することや、住宅についての省エネルギー基準を改正することとしました。

 複層ガラス窓は断熱性に優れており欧米では断熱建材の基準があるため普及が進んでいましたが、日本ではそのような基準はありませんでした。そのため、断熱性の良い複層ガラスが普及しておらず省エネルギー化を進める上での問題がありました。

 民間工事に関する措置は内外無差別のために大規模な建設事業を含むガラス調達の際に競争の増大を促進することが日本政府の方針であることを確認しました。競争力のある外国板ガラスをガラス工事業者や設計事務所が使用する事で輸入を拡大させる狙いがあります。

 競争政策に関する措置は、1993年6月に公正取引委員会が板ガラス産業に関する実態調査の結果を公表しました。その内容は、日本の板ガラス市場は高度に寡占的である中で、各製造業者が事実上の専売店を中心とした販売体制を取っており、他の製造業者が参入することを困難にしているというものでした。そこで、公正取引委員会は独占禁止法に違反すると思われる事案があれば適切な措置を採ることを表明しました。

 このように日本では断熱性に優れた複層ガラスなどの普及が阻害されており、米国側は複層ガラスなどの普及を通して、日本側の輸入を拡大させることを目的に協議が行われたのでした。

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