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日米包括経済協議と日本側の対応その6(貿易摩擦シリーズ)

 日米包括経済協議と日本側の対応

・金融サービスその2

 証券市場についても日米両政府は協議の場を持ちました。両政府は、開かれた競争的な資本市場は資源の効率的配分にとって不可欠であることから、企業が証券を内外市場で発行したり販売したりすることや、投資家が自由に証券を購入することを投資家保護の立場から、制限を最小限のものにとどめられるべきであると考えていました。

 証券商品や市場における進展やイノベーションに適切に対処するために兼業承認などを認めることや、新たな証券商品の開発や証券市場における変化に対応するために関連法令・規則について検証を行っていくことを確認しました。

 証取法上の証券業務の範囲の拡大では、資産担保証券や株式関連の上場派生商品の拡大、新証券商品の確認などが行なわれました。また、証券会社は申請によりあらゆる円金利スワップ業務に従事することを認められています。

 円金利スワップとは、金利スワップの一種で円金利同士を交換するものです。通称「円円スワップ」と呼ばれています。固定金利と変動金利を交換するのが一般的で、金融機関などが金利変動リスクを回避する為に日常的に取引を行っています。そこで使用される指標は「対6ヶ月LIBOR」や「対6カ月TIBOR」のスワップレートなどです。

 LIBOR(ライボー)はLondon Interbank Offered Rateの略で、インターコンチネンタル取引所(ICE)が計算し公表するロンドン市場での銀行間取引金利のことです。対象通過は米ドル、ユーロ、円、ポンド、スイスフランで様々な期間ごとの対銀行貸出金利が公表されています。

 TIBOR(タイボー)は東京市場における銀行間取引金利で全銀協TIBOR運営機関が各リファレンス・バンク(レート呈示銀行)から呈示されたレートを集計し、毎営業日公表しています。

 また、通貨関連派生商品の導入においては、通貨ワラントの導入が行なわれました。通貨ワラントとは各通貨に連動する様に設計された債券(米ドルリンク債・ユーロリンク債など)を対象とするカバードワラントのことです。これは少額からでも外貨に投資するのと同様の効果が期待でき、さらにレバレッジ効果があるため、外貨預金や外貨MMFと比べて値動きが大きい分、同じ投資金額でも高収益が期待できます。リスクが大きいことからハイリスク・ハイリターン型の金融商品となっています。

 社債発行の追加的自由化は日本または海外における社債発行に関する償還年限構造について制約が課せられていないことが保証されています。また、コマーシャル・ペーパーの自由化は外国証券会社による円建てコマーシャル・ペーパーの発行に加えて、外国証券会社自身が現行ルールにおいて円建てコマーシャル・ペーパーを発行できない場合においても、関連する基準に従いそのような外国証券会社が親保証付円建てコマーシャル・ペーパーを発行することを認めました。

 コマーシャル・ペーパー(CP)とは、企業が短期資金調達の目的で公開市場で割引形式で発行する無担保の約束手形のことです。無担保のためある程度の信用のある企業のみ発行できます。割面金額は1億円以上とされていて、証券会社や金融機関が発行を引き受けて投資家に販売されます。社債に似ていますが、社債の償還期限は1年以上なのに対して、コマーシャル・ペーパーは通常1年未満です。金利は発行する企業の信用力によって決まります。

 コマーシャル・ペーパーは一般にプライムレート(最優遇金利)より低いコストで資金調達できることや、銀行からの融資以外での資金調達手段として、短期で企業の必要に合わせて発行して資金調達できるといったメリットがあります。

 このように日米包括経済協議によって証券市場において様々な構造改革が行われ、より良い市場が実現されることになりました。

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