記事一覧

日米包括経済協議と日本側の対応その8(貿易摩擦シリーズ)

日米包括経済協議と日本側の対応

・金融サービスその4

 銀行業務について日本政府は外国銀行に対し、州際銀行業務と州際支店展開に関する法律(リーグル・ニール法)の施行を通じて米国政府が示した進歩を歓迎するとしています。

 リーグル・ニール法とは州銀行法レベルでの規制緩和の進行という実態を踏まえて1994年9月29日に「リーグル・ニール州際銀行支店設置効率化法」が制定されました。

 内容は、銀行持株会社の州際支店(州の境をまたいだ支店)の設置については、十分に資本が充実しており適切に経営されている銀行持株会社が、州法の規定にかかわらず任意の州の銀行を取得することを認めたものです。

 個別の銀行の州際支店設置についても、他州の銀行を取得して支店として州際業務を営むことを認めました。同法制定の結果として、銀行の全米的な店舗網展開が可能となり銀行の大型合併や再編などが進行しました。

 米国において州と連邦の規制が多くの分野において、重複している可能性があり外国銀行に対して潜在的な影響を与えているとの懸念がありました。また、米国内の銀行業務は長らく連邦レベルと州レベルの両規制に服しており、二重の銀行システムが外国銀行と米国銀行の双方に影響を与えているものと認識されていました。

 そのため、米国政府は連邦準備銀行が他の監督当局と協調しつつ、外国銀行組織のアメリカ合衆国内における業務に関する監督の為の枠組み(FBOプログラム)を作成していました。

 FBOプログラムとは外国銀行の米国内の業務に関する年次検査の協調を促し、貸出金の分類に係る検査方針に対して統一的なガイダンスと、信用秩序維持のための資産維持規制等の監督プロセスの一層の効率化を目的としたものです。このような監督プロセスの効率性向上は連邦準備銀行にとって重要な目標でした。

 日本政府は米国金融機関の取締役に対して課される可能性のある市民権要件に懸念を表明していました。米国では国法銀行法によって国法銀行の取締役全員が米国市民であるべきとしていました。このことに対して、外国銀行の子会社や関連会社については軽減されうることや、通貨監督庁長官の裁量によって、市民権要因は全体の取締役の半数以上まで軽減されうることなどが考えられました。

 国法銀行(national bank)とは米国の銀行の種類の一つで、1863年の国法銀行法により連邦政府の免許を得た商業銀行のことです。

 日本政府は子会社や関連会社を通じた銀行と証券会社の相互参入に関心を持っていました。当時米国政府はグラス・スティーガル法の見直し作業を行っており、連邦預金保険に加盟している預金取扱金融機関の安全性と健全性を確保することで金融システムや預金保険基金、納税者のリスクを最小化することなどが求められていました。

 グラス・スティーガル法とは1933年に制定された米国の連邦法で、世界恐慌の経験から銀行の健全化と預金者保護を図るため、銀行・証券業務の分離や連邦預金保険公社(FDIC)の設立などを定めたものです。名称は法案を提出した2人の議員の名に由来しています。銀証分離を定めた条項はその後1999年のグラム・リーチ・ブライリー法により撤廃されました。

 日本側は預金金利の自由化プログラムを完了しており、日本における当座預金を除く全ての銀行預金は、自由化された金利を付されていました。また、金融サービス提供者に対する独占禁止法の完全な適用を妨げる適用除外や規制体系が何ら存在しないことを確認しました。また、外国の金融サービス提供者を含む誰でも、独占禁止法違反の疑いのある事案について公正取引委員会に報告することが出来ます。

 日本の厚生年金基金は安定した年金給付を確保し、加入者の福祉の向上を図ることを目的に設立されており、母体企業とは独立した法人です。そうした法人として、厚生年金基金は、母体企業の利益あるいは母体企業と株式保有関係を持つ会社の利益のために運営されるべきではないとしています。

 日米両政府はいずれかの政府の要請に基づき随時、この措置の実施状況を検討し、必要に応じて金融サービス市場に関するその他の問題について討議するための会合を開催するとしました。

 このようにして日米包括経済協議において金融サービスについて様々な措置が行われ、日米での金融サービスの向上が実現しました。

関連記事


コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Air130

Author:Air130

おすすめチャートツールのご紹介

 

免責事項

※投資は自己責任です。          当ブログは個人的見解を掲載してるものであり、売買を推奨するものではありません。

来場者