記事一覧

第1回日米規制緩和対話と日本側の対応その1(貿易摩擦シリーズ)

 第1回日米規制緩和対話と日本側の対応

・住宅、電気通信

 日米規制緩和対話は1997年6月に橋本・クリントン間で合意されました。その後1998年5月に「規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティブ」として両首脳に報告され発表されました。

 クリントン大統領はこの報告に対し重要な進展があったと述べました。日米両政府は規制緩和を促進し、競争政策を積極的に実施することは、両国にとって最重要の課題であることを確認しました。その上で、さらなる規制緩和推進のために、引き続き対話を行っていくとしています。

 枠組みの中では、消費者利益を増進するとともに効率性の向上と経済活動の促進を図るため、競争力のある製品やサービスの市場アクセスを相当程度妨げる効果を持つ関連法令や行政指導の改革を行うとしています。

 内容は電気通信、住宅、医療機器・医薬品、金融サービス、競争政策や流通を含む構造問題と、透明性や政府慣行に関する問題に取り組む規制緩和や競争政策などでした。

 住宅分野では、2000年度までに建築基準の性能を規定化し新しい建築材料に関する中央評価システムを導入することや、準防火地域における木造3階建て共同住宅での新しい簡単な手続きを実施することを目的とした建築基準法の改正を行うとしています。

 電気通信分野では今現在当たり前となっている番号ポータビリティーの実現方法について専門家による検討が行われました。また、接続料に長期増分費用方式の早期導入できるよう所要の電気通信事業法改正案を通常国会に提出しました。

 2019年現在の第一種指定電気通信設備の接続料算定に用いられる算定方式は、長期増分費用方式や実際費用方式(実績原価方式、将来原価方式)、キャリアズレート方式(事業者向け割引料金)の4種類があります。第一種指定電気通信設備とは固定系通信のことで、第二種指定電気通信設備は移動系通信のことを示しています。

 第一種指定電気通信設備のうち加入者交換機(電話機やファクシミリなどを直接接続する交換機)などの接続料算定には長期増分費用方式が適用されています。

 これは従来の実際費用方式では接続料算定において、情報の非対称性や既存事業者の非効率性の排除の点で一定の限界があったことから導入が求められました。

 この長期増分費用方式は新規参入者が現時点で利用可能な最も値段が安く効率的な設備と技術を前提として、現在の需要を賄う通信網を構築した場合の費用をモデル化して算定する方式です。

 算定費用に用いる技術モデルや入力値は、有識者で構成される研究会や一般への意見募集等の開かれた検討プロセスを経て策定や見直しが行われています。日米規制緩和対話の結果として2000年に接続料算定にこの長期増分費用方式が採用されました。

 当時長期増分費用方式を基礎とした料金の導入に先立ち、日本政府はその既存の権限の範囲内において、接続料の引き下げを可能な限り促進するとしていました。

 現在も移動性通信(スマートフォン)などの利用料金などが高いことが問題視されており、総務省による新政策案などが話題となっています。当時においても接続料が高く設定されていたことが問題となっていたことがわかります。

 KDD(KDDIの前身会社の一つで国際電信電話株式会社)は長らく法規制によって日本と海外との国際電気通信・国際電話を長らく独占的に扱っていました。そこで、規制緩和の一環として1998年にKDDの外資規制を撤廃しました。

 これは1997年2月に合意した世界貿易機関(WTO)の基本電気通信交渉の自由化約束でNTTとKDDを除くすべての外資規制を撤廃した流れに沿ったものでした。

 このように日米規制緩和対話では住宅分野や電気通信分野などで規制緩和が議論され、様々な政策が行われました。 

(出典)規制緩和及び競争政策に関する日米間の強化されたイニシアティヴ(外務省)をもとに作成
関連記事


コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Air130

Author:Air130

おすすめチャートツールのご紹介

 

免責事項

※投資は自己責任です。          当ブログは個人的見解を掲載してるものであり、売買を推奨するものではありません。

来場者