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第1回日米規制緩和対話と日本側の対応その3(貿易摩擦シリーズ)

 第1回日米規制緩和対話と日本側の対応

・金融サービスその1

 2001年までにわたる金融サービス自由化の広範なプログラムは、1997年6月に定められたスケジュールに則り実施されてきており、未実施のプログラムの相当部分を実施するための法律が国会に提出されました。

 まず、普通銀行本体での劣後債の発行の解禁が1997年6月30日に行われました。劣後債は、一般の債権者よりも債務弁済の順位が劣る社債のことをいいます。

 劣後債は会社が解散した場合、他の債権者への支払いをすべて終えたあと、一番最後に債務を返済される立場になるため、社債の一種ではありますが限りなく株式に近い性格を持っているといえます。劣後債も優先株と同様に銀行の自己資本比率を高めるのに発行されることがあります。

 証券会社による未上場・未登録株式の取り扱いが解禁され、グリーンシート制度が出来ました。グリーンシートとは、日本証券業協会が証券会社による非上場会社の株式等を公平・円滑に売買するための制度です。

 非上場企業への資金調達を円滑にし、投資家の換金の場を確保する目的で、金融商品取引法上の取引所市場とは異なったステータスで運営されていました。グリーンシート銘柄制度は2018年3月31日をもって廃止され、同日をもってグリーンシート銘柄の取引は出来なくなっています。

 東京商品取引所と大阪証券取引所において個別株式オプション取引が開始されました。個別株式オプションとは、個別の株式を原資産としたオプション取引のことです。米国では数多くの銘柄が取引されていますが、日本国内では取引が限定的となっており、参加者が少ない状態になっています。

 証券総合口座の導入も行われました。総合口座とは銀行の総合口座の証券版のことです。投資信託であるMRF(マネーリザーブファンド)を中心に様々な機能を持っています。証券総合口座の仕組みは証券会社によって違います。

 MRFは元本の安全性に配慮した、証券総合口座専用の投資信託(追加型公社債投資信託)です。毎日決算を行い、実績に応じて収益が分配されます。MRFは安定運用を行うため、国内外の公社債やコマーシャルペーパー等に投資対象を限定しているため、リスクは限定的で、リーマンショックの際も元本割れしませんでした。

 コマーシャルペーパーとは企業が短期資金調達の目的で、公開市場で割引形式で発行する無担保の有価証券のことです。

 銀行系証券子会社によるエクイティものの流通業務や株価指数先物・オプション取引や、証券会社の信託銀行子会社による貸付信託や特定金銭信託、単独運用指定金銭信託を解禁しました。

 特定金銭信託とは金銭信託のうち運用方法および目的物の種類が、契約あるいは委託者によって具体的に特定されたものです。単独運用指定金銭信託は、個々の信託金ごとに単独に運用する信託であり、金利規制外の金融商品で、現在では年金信託や公益信託、特定贈与信託などで利用される程度です。

 東京証券取引所における大口、バスケット取引に係る時間外取引制度や投資信託委託会社の銀行などからの店舗借りによる投資信託の窓口販売の導入も行われました。

 バスケット取引とは多数の銘柄をまとめてバスケット(かごの意味)に入った1つの商品とみなして売買する取引のことです。一般には15銘柄以上かつ1億円以上の大口の取引で行われ、大口の投資家がまとまった銘柄を買いたい(売りたい)時に証券会社が執行コスト分を上乗せ(コスト分を割引)して売り向かう(買い向かう)ことにより約定を行います。

 立会外取引や店舗市場が使われ一般の市場が閉まっている時間でも取引ができることから、前場の終了後に大口のバスケット取引が約定され、後場にそれを受けた証券会社の自己売買部門が市場で執行するといったことがしばしば行われています。

 このように日米規制緩和対話では様々な金融サービスにおける規制緩和が行われ、より良い市場取引環境の整備が行われました。
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