第2回日米規制緩和対話と日本側の対応その1(貿易摩擦シリーズ)
- 2019/08/11
- 06:33
第2回日米規制緩和対話と日本側の対応
・電気通信その1
1998年5月15日、日米両政府は、日米間の新たな経済パートナーシップのための枠組みの下、規制緩和及び競争政策に関する共同現状報告が発表されました。
規制緩和と競争政策に関する強化されたイニシアチブは2年目に入り、日米両政府は、上級会合並びに6つの専門家会合(電気通信、住宅、医療用具・医薬品、金融サービス、エネルギー、競争政策及び流通を含む構造問題と透明性及び政府慣行に関する問題)を開催しました。
日米両政府は、競争力のある製品及びサービスの市場アクセスを改善し、消費者利益を増進し、効率性を高め、経済活動を促進するとの見解を共有しました。また、国際的な義務と整合的に、競争的な外国の製品及びサービスに対して無差別待遇を与えるものであるとしています。
電気通信分野では、接続料の引き下げとしてNTTの接続料の見直しが行われました。NTTの接続料は郵政省(現総務省)令である「指定電気通信設備接続会計規則」及び「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」に基づき算定することとされています。
NTTの1998年度の接続料は、これらの省令に基づいて1999年1月22日に認可され、結果として引き下げられました。
指定電気通信設備会計規則には主に電気通信事業会計規則と第一種指定電気通信設備(固定系通信)接続会計規則があります。
電気通信事業会計規則では基礎的電気通信薬務を提供する電気通信事業者及び指定電気通信役務を提供する電気通信事業者の会計の基準を確立するとともに、その財政状態及び経営成績を明らかにし、もって基礎的電気通信役務及び指定電気通信役務に関する料金の適正な算定に資することとしています。
また、禁止行為等規定適用事業者の会計の基準を確立するとともに、その財政状態及び経営成績を明らかにする事が定められています。
禁止行為等規定適用事業者とは、市場支配力を有する電気通信事業者に対してその支配力を濫用した場合、公正な競争や利用者の利益への弊害などがあることから、電気通信事業法の規定により、指定された電気通信事業者のことです。
第一種指定電気通信設備接続会計規則では、第一種指定電気通信設備との接続に関する会計の整理の方法を定めるとともに、当該接続に関する収支の状況等を明らかにし、もって接続料の適正な算定に資することと定められています。
1999年度の接続料について、算出の根拠となる1998年度の会計結果が明らかにされた後、NTTが接続約款改定を行うことにより変更されました。当時、郵政省はこの新しい会計システムの下で、接続料が接続に関する費用のみから算定されることを確保していました。
この過程で、日本政府は既存の権限の範囲内において接続料の引き下げを可能な限り促進する政策を継続するとしています。
NTTの1999年度のタリフ(通信サービスの料金や料金表)を認可するか否かを決定するにあたり、郵政省は、小売料金と接続料との関係が地域の競争を損なわないことを条件としていました。
NTTは結果としてもたらされるいかなる接続料の値下げも1999年度の接続約款により1999年度の初めから有効となることが要求されました。
また、当時NTTドコモとの接続について、郵政省はNTTドコモの設備へのアクセスは、第一種電気通信事業者が負う接続の義務に該当することを確認し、接続協定の認可を検討するにあたって、電気通信事業法に従い、NTTドコモの接続料が原価志向であり差別的取扱がなされないことを確保するために審査し、これらの原則に基づき、当該アクセスに関する紛争を裁定するとしています。
このように公共性の高い電気通信分野について接続料金の引き下げを中心に構造改革が行われていきました。
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