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第2回日米規制緩和対話と日本側の対応その16(貿易摩擦シリーズ)

 第2回日米規制緩和対話と日本側の対応

・金融サービスその1

 米国政府は、日本側が日本版ビックバン(金融システム改革)の一環としてその日までに講じてきた措置や、両国政府の「枠組み合意」の下でまとめられた「1995年の金融サービスに関する日米両国政府による諸措置」の中で取り上げられている措置の着実な実施を歓迎するとしていました。

 日本の金融市場の規制改革がさらに進めば、競争が促進され、その結果として日本の長期成長見通しは好転し、個人や日本企業の投資機会の多様化につながるとしています。

 日本の金融システム改革(日本版「ビック・バン」)は、1996年11月に橋本前総理のイニシアティブにより開始され、フリー、フェア、グローバルの理念の下に抜本的な金融自由化・規制緩和を行うことにより、日本の金融市場の活性化を目的として行われました。

 改革のための殆どの措置を盛り込んだ金融システム改革法は、1998年12月1日より実施されました。1998年のバーミンガムサミット以来、様々な措置が実施されています。

 SEC基準と同様に連結ベースでの不良債権の開示を罰則付きで義務付けるなど、金融機関による市場参加者に対するディスクロージャーの強化が行われました。

 当時の状況は、業務純益の積み増しや内部留保の取り崩し等により、不良債権の早期処理に積極的に取り組んでいましたが、バブル経済の崩壊やその後の実体経済の停滞の長期化に伴う不良債権の増加等により、金融機関の不良債権問題は、抜本的な解決には至っていませんでした。

 他方、金融システムは、経済全体の言わば動脈であり、日本経済の再生と活性化のためには、金融機能の安定や早期健全化を図り、日本の金融システムに対する内外の信認を確保することが不可欠でした。

 このような観点から、ペイオフが解禁される2001年3月末までに、この不良債権問題に目処をつけ、揺らぐことのない強い競争力をもった金融システムを再構築することが必要でした。

 具体的には、各金融機関が、金融システム改革が進展する中で、自らの経営判断により、得意分野への重点化や合併・提携などにより、競争力強化や自己資本比率の向上等の経営体力の強化を進めていくほか、各金融機関が、不良債権の抜本的処理を行った上で十分な資本を確保し、預金者や市場から十分な信認を得るため、増資等の自助努力を行うとともに、金融機能早期健全化法に基づく資本増強制度が活用され、必要な資本増強が行われることが望まれていました。

 金融機能早期健全化法とは、国が公的資金を注入することによって、金融機関の破綻を未然に防ぐことを目的とした法律で、1997年の北海道拓殖銀行の破綻を受けて、1998年に成立し施行されました。

 同法は金融機関を自己資本比率によって4つに区分し、破綻が危ぶまれる金融機関には公的資金を注入し、自己資本比率の高い区分の銀行でも、破綻が予想される銀行との合併を行なうなどの条件を満たせば、公的資金の注入を認めています。

 金融機関に対する資本注入は優先株や劣後債を引き受けることによる増資という形で行われ、結果として計32の銀行に総額8.6兆円が投入されました。時限付きの法律であり、同法に基づく資本注入は2001年3月で終了したため、現在は申請することが出来ません。

 優先株とは配当金や、会社を清算する時の残余財産を優先的に受け取る権利を持つ株式のことで、議決権に一定の制限があります。優先株は普通株のように上場されることはなく、事業会社と関係が深い金融機関などが引き受けることが多い傾向にあります。

 優先株を発行する会社にとっては、配当コストが普通株よりも高くつくが、経営の自由度を保ったまま資本力を増強できるのがメリットです。優先的な利益配当などを受けた後、さらに普通株と同列の配当や残余財産分配を受けられる「参加型優先株」、優先的な利益配当のみ受けられる「非参加型優先株」の2種類があります。

 劣後債とは、企業に一定の事由が発生して債務の返済が生じた際、一般無担保社債に比べて元利金の支払い順位が低い社債のことです。一般債権の返済手続完了後に返済開始となるため、投資家にとっては投資保全(回収)の毀損リスクが高いが、その分、金利などの条件がよくなる場合が多くあります。

 一定の事由とは、通常、発行会社の破綻宣告や会社更生法手続開始などであり、当該事由が発生した場合に支払いが劣後することが社債要項に契約条項(劣後特約)として明記されます。

 その性格上、発行する企業にとっては、社債の一種でありながら、自己資本に近い効果が得られます。欧米では長期の劣後債を一定の範囲で自己資本に組み入れることが認められており、株式発行に伴う株式の希薄化による自社株価の下落を回避できることもあって、利用が多い。

 日本では銀行に対する国際的なBIS規制(自己資本比率規制)の導入をうけて1990年に劣後債発行が解禁となり、以後、利用頻度が高まっています。
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