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第2回日米規制緩和対話と日本側の対応その19(貿易摩擦シリーズ)

 第2回日米規制緩和対話と日本側の対応

・金融サービスその4

 SPC(特定目的会社)を利用した資産証券化の制度を確立することによる資産の流動化の促進が1998年9月1日から始まりました。

 資産流動化・証券化とは、個別的な特定の資産(債権等)を分離し、これを集め、当該資産がもたらす将来キャッシュ・フローを引当とした証券等を発行し、その信用格付を補強して投資家に売却する一連の過程のことです。

 日本では米国に端を発する資産流動化・証券化といったストラクチャード・ファイナンス(仕組み金融)に対する関心が高まっており、1993年の特定債権法の施行などを契機に、急速にその市場が形成されていきました。

 特定債権法は、投資家保護の観点から最低販売単位、余裕資金の運用方法など、スキームの組成方法を規定していました。

 1998年には「日本版ビックバン」に向けた「資産担保証券(ABS)など債権等の流動化」という政策目的などから、特定債権法に続き、資産流動化・証券化を促進するための法整備として、いわゆるSPC法などが行われました。

 さらには、日本版金融サービス法への第1歩と位置付けられる集団投資スキーム法制の整備として、SPC法と投信法が改正され、2000年11月末に施行されました。

 この間、税制上もこれらの法整備とあいまって様々な措置が講じられており、特に当該取引の媒体として利用されるSPV(特別目的事業体)に関しては、一定の要件を満たすSPCについて支払配当の損金算入が認められ、実質的に非課税とされました。

 また、一定の要件を満たす信託についても法人税の課税対象とするとともに支払配当の損金算入を認めるなど、画期的な法改正がなされました。SPVとは証券化やプロジェクト・ファイナンスを目的とする事業のことです。

 日本における資産流動化・証券化は、市場規模等の面で急速に発達してきたばかりでなく、制度・実務面でも国内法のインフラ整備などが行われてきました。

 しかしながら、一方で課税上様々な問題を引き起こしました。資産流動化・証券化は、デリバティブ(金融派生商品)等と並ぶ金融技術革新の一つであり、ストラクチャード・ファイナンスといわれるとおり、ストラクチャーのそせいにあたっては様々な法的技術が駆使されており、その手法もますます精緻化・多様化しているほか、海外市場での資金調達も目立つことなどから、その課税問題も複雑多岐にわたっています。

 資産流動化・証券化をめぐる課税問題としては、金融取引類型で見た問題として、その取引段階ごとに、資産の分離譲渡に関する問題や取引の媒体となるSPVに関する問題、投資家に関する問題等新たな金融システムをめぐる政策的・制度設計的問題が数多くありました。

 資産流動化・証券化スキームではタックスヘイブン国であるケイマンのSPC等の海外SPVを利用したものなど国外型のスキームが主流をなしており、これらが直ちに国内型のスキームにシフトすることは容易ではありませんでした。

 そして、これらのクロスボーダーで繰り広げられる金融取引がファイナンス面の経済目的を果たす一方で、国際的な租税回避ないしその可能性を生み出し、さらにはそのことが資産流動化・証券化のみならず他の一般取引にも多大な影響を及ぼしていました。
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