第2回日米規制緩和対話と日本側の対応その24(貿易摩擦シリーズ)
- 2019/09/16
- 06:58
第2回日米規制緩和対話と日本側の対応
・金融サービスその9
銀行・信託銀行の証券子会社や銀行・証券会社の信託銀行子会社の業務範囲制限の完全撤廃が行われました。
金融業界における規制改革の変遷として、1993年4月施行の金融制度改革法により、銀行業、信託銀行業、証券業の間で、これらの業を営む金融機関や証券会社は、いわゆる業態別子会社方式により他業態の業務に参入することが可能となりました。
その後、1997年12月には独占禁止法で認められていなかった持株会社の設立が、同法改正により原則として自由にできることとなりました。
これを受けた銀行法、保険業法、証券取引法等の改正により、1998年3月から銀行、保険会社、証券会社等は持株会社を設立することが認められ、従来の業態別子会社方式による他業態の業務への参入に加えて、持株会社方式による他業態の業務への参入が可能となり、業態区分の緩和が一層進みました。
また、銀行等については、銀行等自らが取り扱うことのできる業務の範囲も段階的に拡大し、投資信託については1998年12月から銀行窓口等での販売が認められ、保険についても2001年4月から銀行が住宅ローン関連信用生命保険、長期火災保険、債務返済支援保険、海外旅行傷害保険を取り扱うことが認められました。
2002年10月からは個人年金保険等の取扱いも認められ、さらに2005年12月には一時払終身保険、一時払養老保険、平準払養老保険等の取扱いも認められました。その後2年間、金融機関による保険募集の実態状況や新たに講じることとしている弊害防止措置の実効性等をモニタリングしながら全面解禁に移行しました。
さらに証券業についても、2003年の証券取引法改正により、投資家が証券取引をより容易に行えるよう、証券仲介業制度が創設されましたが、この証券仲介業務について、2004年12月から、銀行がその業務を取り扱うことが可能となり、株式等が銀行の窓口等において取り扱われることとなりました。
これらの制度改正は、銀行、保険会社、証券会社に対して、一様に、持株会社の設立や子会社による他業態の業務への参入を認めるものでありましたが、実際には保険会社や証券会社が他業態の業務へ参入する動きは余りみられず、銀行が他業態の業務に進出する例が大半を占めた状況でした。
このように、金融各分野を通じた銀行を中心としたグループ企業が形成された場合、従来の業態区分内の競争にとどまらず、業態区分を超えたグループ企業間の競争の活性化が期待されるが、他方、銀行が融資業務を通じた影響力を行使することにより、不当にグループ傘下にある企業の利益を図ることとなれば、金融市場等の公正かつ自由な競争をゆがめるおそれがあると考えられました。
これらの金融サービス分野における金融制度改革は米国政府から日本政府に向けた要望に沿って進められた背景として、日本版ビックバンは日本の金融市場がニューヨーク、ロンドン並みの国際金融市場として復権することを目標として、金融システム改革が行われました。
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