第2回日米規制緩和対話と日本側の対応その48(貿易摩擦シリーズ)
- 2019/10/14
- 06:14
第2回日米規制緩和対話と日本側の対応
米国に対する日本政府の関心事項
・医療機器・医薬品
食品医薬品庁(FDA)は、様々なやりとり等を通じて、GMP相互承認を促進するために相互信頼醸成過程を促進するべく、厚生省とともに取り組んでいました。
食品医薬品庁と厚生省は、日米EU医薬品規制整合化国際会議(ICH)のような国際的な整合化に関する会合においても積極的に取り組んでいるとしています。
日本側は、日米間の医薬品・医療用具のGMP(Good Manufacturing Practice:製造管理及び品質管理規則)相互承認交渉を促進されたいとしており、日米間のGCP(Good Clinical Practice:臨床試験に関する基準)相互承認に向けて、意見交換を開始したいとしていました。
また、実生産スケールでの安定性試験要求時期の改善として、申請時に商業生産設備で製造した製品を用いた3ヶ月の安定性試験データの提出を求めていますが、パイロットプラントで製造された製品による安定性試験データの提出で可能としてほしいと要望しました。
パイロットプラントとは小型の実験装置と工場の生産プラントとの中間規模の装置のことで、新しい生産方法の工業化に当たって、装置の大型化による操作条件の変化、安全性、製品の品質などを確かめ、生産プラントの設計、操作に必要な資料を求める目的のものです。
化学工業などで広く行われ、生産プラント稼動後はその模型装置として製品の試作や研究などを迅速、安価に行えるのが特徴です。
GMPは医薬品の製造と品質管理に関する国際基準のことで、1968年に世界保健機構(WHO)がGMPの制定を決議し、1969年に各国に勧告しました。
日本では1976年4月から実施しています。GMPは人為的な誤りを最小限にすることや医薬品への汚染と品質変化を防止すること、高度な品質を保証することの3つの要件を満たすことを目的としており、メーカーの品質管理マニュアルのようなもので、内容は多岐にわたっています。
最終医薬品の製造に関する規範、建物、機械設備のほか、製造工程・保管・衛生の各管理者を置いて、品質管理基準書を作成することや、出荷の記録、有効期間の設定、苦情処理などの各項目があります。
さらに、医薬品は流通の過程で汚染される可能性もあることから、1998年5月にWHOで開かれた医薬品の専門家会議では、正しい流通の基準も導入すべきだと話し合われました。
GCPは1990年10月から適用された新薬の臨床試験の実施に関する基準のことで、患者の人権を守るため、臨床試験を倫理的・科学的に行ない、責任体制を明らかにしようとするものです。臨床試験に当たっては、患者に十分な説明を行ない、原則として文書での同意を得ることなどを義務づけています。
食品医薬品庁は、510(k)の機器のための90日間の審査機関を満たしており、未処理案件をなくしてきました。食品医薬品庁は、生物製剤評価・研究センター(CBER)所管のいくつかの機器の審査期間において相当の遅延があることを認識し、これらの申請につきより早期の審査を目指して取り組みを続けるとしています。
510(k)とは米国で医療機器を販売するために必要な市販前認可です。米国で医療機器を販売するためには、FDA(食品医薬品局)が定める規制に準拠する必要があります。FDAが米国内で既に合法的に市販されている機器との実質的同等性(使用目的、技術仕様、有効性)や安全性等を総合的に判断し、医療機器の米国内販売を認可するものです。
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