第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その1(貿易摩擦シリーズ)
- 2019/10/18
- 06:28
第3回日米規制緩和対話と日本側の対応
・電気通信その1
長期増分費用方式(LRIC)に基づく料金の導入に先立ち、郵政省は、NTT地域ネットワークの接続料の引下げを促進し、2000年2月25日に、1998年度と比べ総額1770億円に上る更なる1999年度の接続料の引下げを認可し、これは当時過去最大の年間引き下げ額でした。
長期増分費用方式とは、実際の費用発生額によらず、地域通信網を現時点で利用可能な最も低廉で効率的な設備と技術で再構築した場合の費用に基づいて接続料原価を算定する方式です。
当時はインターネットの爆発的な普及に伴い、インターネット通信料金に係わる定額料金制導入のニーズが高まっており、インターネットの更なる普及のために、インターネット通信料金に係わる定額料金制の導入が必要であり、一般家庭が支払い可能な料金水準の実現が求められていました。
当時の接続に関する制度において、指定電気通信設備(各都道府県において端末回線数の2分の1を超える規模の固定伝送路設備及びこれと一体として設置される概ね都道府県内の電気通信設備をいう。)を設置する事業者(当時のNTT東日本・西日本)に対して、接続に関する会計の整理や約款の作成等を義務付けています。
これは、当該設備との接続が他事業者の事業展開上不可欠であり、また、利用者の利便性の確保という観点からも当該設備の利用が確保されることが不可欠であるという理由によるものです。
この指定電気通信設備の接続料の原価は、指定電気通信設備接続会計規則の規定に基づいて整理された当該設備の管理運営に実際に要した費用を基礎として算定されています。
当時のNTT東・西の接続料は着実に低廉化していましたが、国際的に比較すると、定額制接続料の有無等の条件の差異は国によりあるものの、米英等に比べてなお相対的に高い水準にあり、その更なる低廉化の実現が課題となっていました。
長期増分費用方式の導入に向けての取組み状況として、NTT東・西の地域通信網に接続する事業者にとっては、接続料が低廉化すれば、自己の通信料金を引き下げることが可能となることから、その一層の低廉化を求める声がありました。
また、接続料の一層の引下げの具体的な方策として、「特定事業者の過去の不可欠設備運営の不経済性により生じた費用が接続料原価に算入されることがない」等の理由から長期増分費用方式の早期導入を求める意見がありました。
これを踏まえ郵政省において、事業者、有識者等の参加や意見を得て、外国で使われているモデルの解析や、設備に関するフォワード・ルッキングなコスト・データの収集、技術モデルの構築等の作業を行うことが提言されました。
長期増分費用方式導入の意義として、昭和60年の電気通信制度改革以降、競争原理の導入と推進により料金の低廉化やサービスの多様化・高度化等が実現し、利用者の便益の向上に大きな成果を挙げてきました。
接続料の引下げは、競争を促進していく上で大きな役割を果たすとともに、通信料金の引下げの可能性を生みます。このことは、基本的に利用者の利益につながるものであり、これまでの低廉化の進展をその後も引き続き促進することが必要であると考えられていました。
長期増分費用方式は、ネットワークをその時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用する前提でコストを算定するものであり、独占的な地域通信網の提供における不効率性を排除した競争価格の水準を示すものとされます。
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