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第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その22(貿易摩擦シリーズ)

 第3回日米規制緩和対話と日本側の対応

・金融サービスその4

 厚生年金基金と国民年金基金について、資産運用者間(投資顧問会社を含む)で運用委託先を変更する場合において、証券現物移管を可能とする規制の整備が2000年6月1日に行われました。

 現物移管とは、年金信託のシェア変更等に際して、現金ではなく株式、債券等の有価証券現物のまま行われる資産の移管方法のことで、現物移管を行うことにより、売買手数料の削減やマーケット・インパクトを回避できるというメリットがあります。

 なお、現物移管については、企業年金が信託銀行に対して単独運用(直投)で委託している場合だけに限り、合同運用で委託している場合には現物移管はできないこととされています。

 単独運用(直投)の場合は、株式、債券等の持分が企業年金ごとに明確に区分されているのに対して、合同運用の場合は、企業年金と契約した信託銀行は「受益権」を持っているに過ぎず、株式や債券等の現物を直接保有しているわけではないため、企業年金ごとにその現物資産の持分が明確に区分されていないこと等がその理由となっています。

 当時の日本の金融システム改革は2001年までに完全に実施されることとなっており、保険業と金融他業態の相互参入の完了となる銀行による保険分野参入制限の撤廃が行われました。

 また、年金福祉事業団の承継基金について、十分なリスク管理体制が構築された場合には、資産運用者間(投資顧問会社を含む)で運用委託先を変更する場合において、証券現物移管を可能とする規定を整備し年金福祉事業団の承継基金の資金運用について、リミテッド・パートナーシップ・スキーム以外の新たな信託スキーム(特定信託)を導入しました。

 リミテッド・パートナーシップ(投資事業有限責任組合)とは、投資事業有限責任組合法に基づき、ベンチャー企業のような未公開企業への投資を専門的に行う組合型ファンドを創設・運用するために設立された組合で、無限責任組合員と有限責任組合員から構成されています。

 リミテッド・パートナーシップ・スキーム(LPS)は法令や契約により設立され、組合員が共同で主として投資事業を行う組合です。

 組合の業務を執行し、債務について無限責任を負う運用者(無限責任組合員)と債務について有限責任を負う投資家(有限責任組合員)によって構成されています。

 年金基金がインフラ、不動産、プライベートエクイティ(PE)などのオルタナティブ投資を行う場合においては、有限責任を担保することが必要となります。

 海外の年金基金等においてはオルタナティブ投資を行う場合にLPSが活用されています。国内で組合を設立する場合には、投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づき組合契約を締結することになりますが、この場合、当該組合契約に基づく権利は、金融商品取引法上、有価証券として取り扱われています。

 そのため、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がLPSに対して投資を行うためには、運用対象となる有価証券として政令で指定することが必要です。

 年金福祉事業団とは、厚生年金保険、船員保険、国民年金の被保険者の福祉を増進させるための施設の整備や、融資などを行った特殊法人です。

 1961年、年金福祉事業団法に基づき発足し、2001年に解散しています。かつて年金保険の積立金は大蔵省の資金運用部が管理運用し、国の財政投融資の主要財源となっていましたが、積立金の増大に伴って被保険者の福祉増進の財源にあてるべきとの声が高まり、設置されました。

 資金運用部から長期資金を借り入れ、被保険者向けの住宅購入資金の貸し付けや、民間の社宅、療養施設、厚生福祉施設の設置のための融資、全国13ヵ所の大規模年金保養基地(グリーンピア)の建設などを行いました。

 2001年に財政投融資制度の改革が行われ、年金福祉事業団は廃止され、年金資金運用基金が設立され事業を引き継ぎました。また、2004年には年金資金運用基金が廃止され、2006年後継の組織として年金積立金管理運用独立行政法人が創立されました。

 財政投融資とは国民生活基盤や生産基盤の充実、民間投資の量的補完などを目的に、政府企業や政府関係機関、民間企業などに対して行われます。

 政府による投資や融資のことで、近年資本主義諸国の混合経済において重要な役割の一つとなっています。混合経済とは、国民経済において民間部門と公共部門がそれぞれ独自の機能を果たしながら相互に補完し合って経済全体の機能の円滑が維持されている状態です。

 日本では明治以降、一部の国営企業を中心に行われてきました。1951年からは大蔵省の資金運用部が、郵便貯金や年金積立金、各種特別会計からの預託金を原資として、特殊法人などを対象に融資を行いました。

 1953年度以後は毎年度国会における予算審議の参考資料として提出される財政投融資計画に基づいて総合的に運営されており、1973年度からは運用機関が5年以上にわたるものについて運用対象ごとに国会の議決が必要となりました。

 2001年には財政投融資制度が改革され、資金運用部は廃止となり、郵便貯金や年金積立金などの預託義務も廃止され、資金運用部資金は財政融資資金と解消されました。

 財政投融資の原資は、国債の一種である財政投融資特別会計国債(財投債)や特別会計の積立金と余裕金などからなりますが、特殊法人や独立行政法人など財政投融資を利用する機関(財投機関)は、まず財投機関債を発行するなどして金融市場からの自己調達に努めることとされています。

 使途分野は中小企業や農林漁業、教育・福祉・医療分野、社会資本整備、産業・研究開発、国際金融・政府開発援助(ODA)、地方公共団体などとなっています。
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    大辞林 第三版(三省堂)
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