第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その38(貿易摩擦シリーズ)
- 2019/12/19
- 06:07
第3回日米規制緩和対話と日本側の対応
・独占禁止法と競争政策その2
談合を排除するための措置として、警察庁は、これまで都道府県警察に対して、談合の疑いのある行為について厳正に捜査するよう指導し、その目的のために必要な支援を行ってきているとしました。
警察庁は、引き続き、都道府県警察に対して、このような行為を積極的に捜査するよう指導するとともに、刑事上の談合の疑いのある行為を効果的に捜査するため、都道府県警察に対して必要な支援を行うとしています。
公正取引委員会と警察庁は、両当局間での連絡体制を整備しており、2000年度には、入札談合行為の審査(捜査)に関する協力をどのように改善するかについての検討に係る協議を開始しました。
法務省は、引き続き、入札に関する情報を含む秘密情報を漏洩したり、談合行為を非合法的に幇助したことが発覚した公務員に対する積極的かつ厳正な告発を奨励する措置を取るとしています。
独占禁止法違反行為に係る民事的救済の整備として、1999年10月、公正取引委員会が開催した「独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度に関する研究会」は、独占禁止法違反行為に対する私人による差止請求制度を導入することの是非、及び、独占禁止法第25条の損害賠償請求制度の改善方法に関する最終報告書を取りまとめました。
独占禁止法第25条は第三条(事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない)や第六条(事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない)、第十九条(事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない)の規定に違反する行為をした事業者及び第八条の規定に違反する行為をした事業者団体は、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずるとしています。
第八条は、一定の取引分野における競争を実質的に制限することや、第六条(事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない)に規定する国際的協定又は国際的契約をすること、一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること、構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう)の機能又は活動を不当に制限すること、事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすることなどの行為をしてはならないとしています。
同報告書には多くの結論が記載されており、不公正な取引方法(独占禁止法第19条違反)については、私人による差止請求制度を導入することが適当であるとしました。
私的独占、不当な取引制限及び事業者団体の禁止行為(独占禁止法第3条及び第8条違反)を構成する違反行為を私人による差止の対象とすべきかどうかについては、私人による差止の有効性や、独占禁止法第25条の規定に基づく訴訟の対象と なる違反行為類型との整合性を更に検討した後に判断されるべきであるとしています。
民事的救済制度の内容は、独占禁止法違反行為については、民法の規定に基づき損害賠償を求めることもできるほか、独占禁止法第25条は、公正取引委員会による確定審決が存在する場合に、私的独占若しくは不当な取引制限をし、又は不公正な取引方法を用いた事業者に対し、無過失損害賠償責任を定めています。
同条の規定に基づく損害賠償請求訴訟については、東京高等裁判所の専属管轄とされ、違反行為による損害額に係る裁判所から公正取引委員会への求意見制度が設けられています。
公正取引委員会は、独占禁止法違反行為に係る民事的救済制度の検討の意義として、独占禁止法違反行為による私人の被害に対する救済手段の充実の必要性と同法違反行為に対する民事面からの抑止的効果の強化という観点から、差止訴訟制度の導入と損害賠償訴訟制度の充実について検討する意義があるとしています。
- 関連記事
-
- 第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その39(貿易摩擦シリーズ)
- 第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その38(貿易摩擦シリーズ)
- 第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その37(貿易摩擦シリーズ)
- ネット証券のチャートツールとの併用がおすすめな、便利なチャートツールをご紹介いたします。ぜひ次のリンクをクリックしてお試しください。 早速試してみたい方はこちらをクリック