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第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その39(貿易摩擦シリーズ)

 第3回日米規制緩和対話と日本側の対応

・独占禁止法と競争政策その3

 事業者団体の禁止行為に対する損害賠償請求訴訟を認めることが適当であるとしました。公正取引委員会は、損害賠償訴訟制度の充実について、独占禁止法違反行為を行った事業者団体の構成事業者の損害賠償責任については、違反行為の主体は事業者団体であり、構成事業者の違反行為への関与の度合いは様々である等から、25条訴訟によって構成事業者にも損害賠償を求めることができるとすることは、必ずしも適当とはいえないと考えられるとしています。

 また、不当な取引制限等に該当する事項を内容とする国際的協定等については、25条訴訟の対象とすることが考えられるとしました。

 企業結合については、独占禁止法第4条の規定による企業結合規制は、競争的な市場構造を維持することを目的とするものであり、「一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる」場合、すなわち、競争の実質的制限が生じていなくても、それが容易に現出し得る状況がもたらされる場合に企業結合が禁止されるものであるため、同法に違反する企業結合が直ちに私人に被害をもたらすものとはいい難いとしています。

 また、競争的な市場構造の維持を図るため、企業結合の実態を公正取引委員会が把握する制度も設けられており、民事面からの抑止的効果を強化する必要性も低いといえること等から、企業結合を25条訴訟の対象とすることは必ずしも適当ではないと考えられるとしています。

 独占禁止法違反行為の存在についての立証負担の軽減として、確定審決で認定された違反行為が存在することについて事実上の推定が働くことは、判例・学説とも認めるところであり、また、公正取引委員会は、確定審決が存在する場合には、独占禁止法違反行為に係る損害賠償請求訴訟が提起され、文書送付嘱託があったときは、事業者の秘密等に配慮しつつ、勧告において事実認定の基礎とした資料等として同法違反行為の存在に関連する資料を提出しているとしています。

 その上で、同法違反行為の存在についての立証負担は、事実上、相当程度軽減されるものと考えられるので、同法違反行為の存在についての推定規定を別途定める必要性は乏しいと考えられるとしました。

 推定とは、あることから他のことを推測や認定することで、事実上の推定と法律上の推定に分けられます。

 前者は、すでに証明された事実を基礎として、経験則を用いて行う推定で、衣服に被害者の血痕が付着していたという事実から、殺人の事実を推定するといった場合がこれに当たります。

 後者はさらに、法律上の事実推定と法律上の権利推定に分けられます。法律上の事実推定とは、一定の法律効果の構成要件事実としての甲事実を、別の乙事実によって推論することを法が定めている場合です。

 法律上の権利推定とは、甲事実の存在から直接乙権利の存在を推論するもので、推定は反対の事実があることの証明があればその効果を生じないことになり、その点で擬制とは異なります。  

 擬制とは法律用語としては、性質の異なるものを同一のものとみなして同じ効果を与える取扱いをいいます。

 例えば、相続については胎児をすでに生まれたものとみなすようなことで、擬制は、それが事実に反することを承知のうえで、法政策的な考慮からとられる措置であるから、推定とは異なり、反証によってその効果がくつがえされることはありません。法令上擬制は「みなす」という言葉で表現されます。

 一般に推定規定を定める場合、推定規定によって推定される内容と真実が合致する蓋然性が高いことや、立証が困難であるために救済を得ることができない被害者の救済を図る必要があること、推定規定によって説明責任を転換することが、公平の観点からみて、妥当であることを考慮する必要があること、推定規定によって証明責任を転換することが、公平の観点からみて、妥当であることを考慮する必要があるとしています。

 独占禁止法違反行為の様態や被害者の地位等は様々であり、推定される内容と真実とが合致する蓋然性や立証の難易の程度等は、違反行為類型ごとに大きく異なります。

 また、同じ違反行為類型に属するものであっても、因果関係等の判断に際しては、個別の事情を考慮する必要があるケースが多いので、すべての独占禁止法違反行為に適する推定規定を定めることは困難であると考えられています。

 また、独占禁止法違反行為の態様等に応じて、それぞれ異なる規定を置くことは、規定が複雑となるだけでなく、あらゆるケースについてそれぞれに適した推定規定を置くことは事実上不可能であるとしています。

 したがって、推定規定を定めるとしても、価格引き上げカルテルや入札談合のような比較的類型化しやすい違反行為に限られると考えられています。

 例えば、価格引上げカルテルにおける相当因果関係についての推定規定を定める場合には、違反行為者がカルテルに基づく価格引上げを行う直前の価格より高い価格でカルテル対象商品を購入した者は、カルテルによる損害を受けたものとすると推定することを基本とすることが適当と考えられます。

 この場合、価格引上げカルテルには、カルテル対象商品の商品特性や流通経路、価格体系等によって、様々な形態があり得るため、それぞれに適した推定規定を定めるには、中間販売業者の加算分の取扱いや推定規定の適用を受ける被害者の範囲などをどうするかという問題があり、十分な検討が必要であるとしました。

 他方、価格引上げカルテルには、カルテル対象商品の商品特性や流通経路、価格体系等によって様々な形態があることから、これらを的確に類型化し、上記の考えに基づいた推定規定を適切に定めることは難しく、また、不法行為に基づく損害賠償請求の要件となる損害の発生や相当因果関係について、推定規定を定めた立法例はないことから、損害の発生と違反行為との相当因果関係についての推定規定を定めることについては、慎重な検討が必要であるとの考え方もあります。

 また、損害額の認定は、裁判官が自由心証によって行うものであるところ、裁判所が口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果に基づいて相当な損害額を認定することができるとする民事訴訟法第248条が設けられたこともあり、必ずしも、損害額についての推定規定を定める必要はないのではないかとの考え方もあるとしています。

 自由心証主義は、裁判所が事実を認定するに際し、証拠資料の範囲や信用性の程度について、法律上なんら拘束されず自由に判断できる主義のことです。

 法廷証拠主義に対する、近世フランス訴訟法が採用してから、近代国家はいずれもこれにならっています。

 民事訴訟法は明文でこの主義を認めており、特別な事情に基づく若干の例外はありますが、原則として証拠方法の範囲を制限せず、または証拠価値に関する規制をすることはありません。

 したがって、裁判所は証拠調べの結果だけでなく、弁論の全趣旨をも考慮して自由に事実を認定することができます。

 その際、裁判所は経験法則と論理法則に従って合理的な判断をすることを要し、これに反した場合には、法令違背に準じて上告理由となります。 
 
 刑事訴訟法にも同様の明文の規定があり、自白の証明力には制限が設けられ、補強証拠がなければ自白だけでは有罪を認定することができない点せ例外が認められ、また事実の認定は必ず証拠によることを要し、弁論の全趣旨によって判断できない点が、民事訴訟の場合と異なります。

 刑事でも経験法則と論理法則に従うことを要し、これに反すると訴訟手続の法令違反として控訴、上告理由となります。
   ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
    をもとに作成
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