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第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その56(貿易摩擦シリーズ)

 第3回日米規制緩和対話と日本側の対応

 米国政府によってとられた規制緩和及びその他の措置

・規制緩和・競争政策およびその他措置その8

 特許について米国政府は、先願主義への移行、早期公開制度と再審査制度のさらなる改善や、 並びに特許協力条約(PCT)上の実務に整合した発明の単一性に関する規則の採用についての日本の要望に対し、引き続き十分に考慮することを保証するとしました。

 先願主義とは、特許権は発明者にのみ認められるが、同一の発明を別人が同時並行して行った場合、もっとも先に出願をした者に与えることを先願主義という。

 日本やヨーロッパ諸国で採用されていますが、一方、もっとも早く発明した者に与えることを先発明主義といい、先進国では米国が採用しています。

 先願主義は、出願することで発明を公共に委ねたことへの報酬が「特許による独占」だという考えに立ち、先発明主義は特許出願に不慣れでも権利を確保できるという利点があるが、発明が先か後かを決める手続きが煩雑になるのが難点となっているため、米国でも先願主義への改革法案が議会で審議されています。

 米国は、世界で唯一、先発明主義を維持しているなどほかの先進国からみても特異な特許制度を有しており、制度が異なることだけをもって問題であるとの指摘は十分でないと考えられますが、実態として、世界有数の国内市場を有する米国において、他国と異なる原理・手続によりそれらの特許権が付与されることは、他国民からみれば、制度利用のために不当に高いコストを強いられたり、権利の不安定性から事業の予見可能性が損なわれるという状況を引き起こすとしています。

 日本側はこのような状況は貿易・投資の自由化・円滑化を阻害しかねないものであり、改善が強く望まれるところであるとしました。

 サブマリン特許として特許期間の問題や、早期公開制度の欠如があり、米国では、発明者が、特許出願中の発明の存在を秘匿したまま意図的に審査を延期させ、その間に第三者が独自に実用化技術を開発し、その発明に抵触する商品の市場規模が十分に拡大してから特許を成立させ、特許付与後の権利行使の期間において莫大なライセンス料を請求することが可能となっています。

 これがいわゆる「サブマリン特許」問題であり、例えば、1969年に出願されたマイコン(マイクロコンピュータ)の基本技術に関する出願が21年間潜伏し、1990年特許が付与されその後17年間権利が存続可能となった事例があります。

 これは、米国において、特許の権利期間が出願時期により制限されないこと(特許出願日から起算されるのではなく、特許付与日から起算される)や、出願内容が早期に公開されないことに起因しています。

 このサブマリン特許問題については、1993年10 月より開始された日米包括経済協議知的財産権作 業部会において、要因となっている項目について改善を求めた結果、米国が、特許期間を「最初の出願日から起算」に変更することや、1996年1月までに早期公開制度を導入するとの合意が成立しました。

 特許期間の起算日の適正化や、特許期間の延長として、特許期間については、TRIPS協定第33条が、出願日から20 年以上の特許期間を規定していることもあり、ウルグアイ・ラウンド実施法により「特許期間は最初の出願の日から20年で終了」と変更されました。

 しかし、これは1995年6月8日の施行日以降の出願に対して適用されるものであり、1995年6月7日以前の出願に関しては依然としてサブマリン特許となる可能性を有しており、今後も問題が残されています。

 また、UR実施法の改正内容に不満を持つ個人発明家や中小企業等の意見を受け、特許期間を特許付与後17年間又は出願から20年のいずれか長い方とする法案も議会に提出されていましたが、審議未了で廃案となりました。

 今後もその動向を注視していく必要があり、早期公開制度に関しては、原則としてすべての特許出願を最先の出願日から18ヶ月経過後速やかに公開する趣旨の特許出願公開法案が、1994年以降の議会に毎回提出されたが、いずれも審議日程切れのため廃案となりました。

 このため、早期公開制度の導入については履行期限を大幅に過ぎた後も依然として実施に至らず、日米合意が不履行となっており、米国側の早期の完全履行を強く求めていくことが必要であるとしています。

 先発明主義について米国は、同一の発明が2件以上出願された場合、特許権を先に出願した者に付与する「先願主義」ではなく、先に発明した者に付与する「先発明主義」を採用しています。

 先発明主義自体は、TRIPS協定に違反するものではないが、世界中で米国だけが採用している制度 であり、先発明者の出現で事後的に特許権者の地位が覆されることがありうる点で確実性、予見可能 性がありません。

 米国内においても「先発明主義」の問題点は認識されており、1992年9月米国特許法改正に関する諮問委員会も商務長官への報告書において「先願主義」の採用等を勧告しており、特許制度のハーモナイゼーションという観点からも先願主義への転換が望まれています。

 ハーモナイゼーションとは、問題解決を目指して当事者間で行う調整や協調のことで、国家間の相互依存関係の重要性が認識されるようになった結果、多国間に横たわる問題は相互の調和・協調体制の構築によってしか解決しえないとの共通認識が生れ、多くの問題で調和的・協調的態度がみられるようになりました。麻薬サミットや米ソ首脳マルタ会議、地球サミットの開催などが具体的な例となっています。

 再審査制度について、米国においては、特許権成立後に第三者が異議を申し立てる制度として再審査制度を設けていますが、米国の再審査制度は、異議申し立ての理由が先行技術文献の存在を理由とするものに限られていることや、申立後の再審査手続きに申立人が関与できないこと、決定について申立人は上訴できない、といった点で、第三者が異議を申し立てる上で制限的な規定ぶりとなっています。

 この再審査制度の問題についても、日米包括経済協議において改善が求められた結果、1996年1月までに再審査請求の理由の拡張と再審査手続への第三者参加機会の拡大を含む制度の改善をするとの合意が成立しました。

 しかしながら、早期公開制度と同様、1994年以降に提出された法案はいずれも審議未了のまま廃案となっており、米国側の早期完全履行を強く求めていくことが必要であるとしています。

(出典)規制緩和及び競争政策に関する 日米間の強化されたイニシアティブ第三回共同現状報告(外務省)
    米国の特異な特許制度(経済産業省)
    ASCII.jpデジタル用語辞典
    ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
   をもとに作成
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