第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その62(貿易摩擦シリーズ)
- 2020/01/25
- 06:19
第3回日米規制緩和対話と日本側の対応
米国政府によってとられた規制緩和及びその他の措置
・電気通信その3
ドメインネームの登録と管理のための公正な競争環境として、米国政府と日本政府は、インターネット・ドメインネーム・システムの民間管理について議論しました。
米国政府と日本政府は、米国政府並びにドメインネームやIPアドレスの割当に関するインターネット法人(ICANN)との取決めの下でのネットワーク・ソリューションズ社(NSI)の義務の精力的な執行が、ドメ インネーム・サービス市場における健全な競争の利益を消費者が手にすることを保証するのに必要であるという見解を共有しているとしています。
ICANNは、インターネットの安全性や安定性、相互運用の維持に全世界から参加している非営利の公益法人です。
競争を促進し、インターネットの一意のの識別子に関するポリシーを作成し、インターネットの命名システムの調整の役割を通じて、インターネットの拡大と進化に重要な影響を及ぼしています。
インターネット上で誰かと連絡するには、コンピュータにアドレス(名前または番号)を入力する必要があり、そのアドレスは一意(値が1つに確定していること)であるため、コンピュータにはどこを探せばよいかがわかります。
このような一意の識別子を世界規模で調整することが、ICANNの役割となっており、調整するものがなければ、世界中で1つのインターネットを共有することは不可能としています。
ICANNは1998年設立の非営利法人で、世界各地から集まった人々によって運営され、インターネットを安全で安定した、相互運用可能な場所として維持することを目的にしています。
インターネットで公開されているコンテンツはICANNの管理対象ではなく、ICANNはスパム送信を停止させることや、インターネットのアクセス問題を解決したりはしていません。
ただし、インターネットの命名システムを調整する役割を果たす上で、インターネット自体の拡張と進化には大きな影響力をもっているとしています。
ドメインネームシステム、略称DNSは、人間がインターネットにアクセスするためのシステムで、インターネットを構成するコンピュータが互いに通信するには、ひと続きの数字を組み合わせて使います。
デバイス別に関連付ける数字をIPアドレスといい、これを検索して目的の相手を見つけます。ただし、数字のみの長いリストを覚えるのは人間には難しいため、DNSでは数字ではなく文字を使用しており、正しい文字列と、正しい数字をリンクしています。
これによって、ICANNのウェブサイトは、「192.0.32.7」ではなく「icann.org」で表示できるようになり、ネットワーク上のコンピュータがどこにあるかがわかります。
このシステムは、特定ドメインと特定IPアドレスの間のリンクは短時間で簡単に変更できるため、人々がネットワークを使いやすくする以外にも、特定のドメイン名を特定のコンピュータにのみ結び付けなくてもよいというメリットがあります。
ドメインとコンピュータの変更は、48時間以内でインターネット全体に認識され、DNSインフラストラクチャを絶えず更新し続けているおかげで、このようにして、柔軟性のきわめて高いシステムが構築されています。
ドメイン名そのものは、「ドット」の前と後の2つの要素で構成されており、ドットの右の部分、com、net、orgなどを「トップレベルドメイン」またはTLDといいます。
ケースごとに1社、レジストリと呼ばれる業者があり、特定のTLDで終わるすべてのドメインを任されており、彼らは特定の名前以下にあるドメインディレクトリの完全なリストと、それらの名前に関連付けられたIPアドレスにアクセスできます。
ドットの前の部分は登録されたドメイン名で、Webサイトや電子メールなどのオンラインシステムに使われます。
これらのドメインは多数の「レジストラ」が販売しており、料金はレジストラによって異なりますが、どのような場合でも初回登録時には、ドメインごとの設定費用をレジストラに支払います。
レジストラはインターネットのドメイン名の登録申請を受け付ける業者のことで、登録するドメイン名によって、業者は異なっており、多くのレンタルサーバー業者やインターネットプロバイダーがレジストラ業務を行っています。
ICANNはレジストリごとに契約書を作成しており、レジストラの認証システムも運営しています。ドメイン名システム、ひいてはインターネットに一貫して安定した環境を提供するのはこの契約です。
簡単にまとめると、DNSを使ったアドレス指定システムにより、誰もが見たいWebサイトをインターネットで探せるということであり、DNSは電子メールなどのさまざまなオンラインツールの基本でもあります。
ICANNは、IPアドレスでも管理者としての役割を担っています。ドメイン名を使うのは人間ですが、IPアドレスの場合はコンピュータになります。同じドメイン名を2つ所有することは、どのような事態を招くか予想が付かず、不可能です。同じ理由で、IPアドレスも同じものが2つ存在することはありえません。
ICANNはシステム自体を運営するのではなく、IPアドレスの発行を調整して、繰り返しや競合を防ぐための団体であり、ICANNはIPアドレスの中央リポジトリとして、地域レジストリにアドレス範囲を割り振ります。また、レジストリはネットワークプロバイダにアドレスを発行します。
ルートサーバーについては、現在13のルートサーバーがあり、より正確には、ルートサーバーを検出できる13のIPアドレスがインターネット上にあります。
13のIPアドレスのうちの1つを持つサーバーは、物理的には数十か所に存在でき、すべてのサーバーに、インターネットのアドレス帳のメインインデックスとして機能する、同じファイルの複製が保存されています。
このファイルには、各トップレベルドメイン(.com、.deなど)のアドレスが記されており、レジストリ固有のアドレス帳がどこにあるかがわかります。
実際のところ、ルートサーバーを参照する機会は、インターネットの規模を考えるとほとんどないと言ってもよいくらいであり、ネットワーク上のコンピュータは、特定のトップレベルドメインのアドレスを知ると、それを覚えてしまい、たまに変更がないか確認する程度になるとしています。だからこそ、ルートサーバーを維持することは、インターネットの円滑な機能に不可欠です。
ルートサーバーの運用は大部分が自律的ですが、同時に他者との共同作業でもあり、インターネットの発展と変化に伴い、システムが最新の状態を保つよう注意することも、ICANNの役割の一つとなっています。
米国と日本の民間部門は、競争的なドメインネーム登録業者やICANNの世界的プロセスへの参加者として新たな市場に参加しています。
米国政府と日本政府は引き続き、2国間で協議し、政府諮問委員会(GAC)に参加し、他のGACメンバーとともに政府の懸念に関 わるICANNの活動に関するアドバイスを作成し提供するとしました。
インテルサット(国際電気通信衛星機構)へのダイレクトアクセスについてFCCは、コムサット以外の事業者に対し、国際衛星サービスのために、米国からのインテルサットへのダイレクトアクセスを認める措置を講じました。
コムサットは米国の通信衛星法に基づく国策会社で、1963年に設立され、インテルサット衛星と八つの地球局により、米国と世界を結ぶ通信サービスを行っています。
ASCII.jpデジタル用語辞典
大辞林 第三版(三省堂)
をもとに作成
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