第4回日米規制緩和対話と日本側の対応その1(貿易摩擦シリーズ)
- 2020/02/04
- 06:46
第4回日米規制緩和対話と日本側の対応
・電気通信その1
米国政府の日本政府への要望書では、日本側は、2005年までに世界最高水準の電気通信インフラを構築するという野心的な目標を設定しました。
経済全体の成長や、投資、効率性を刺激するこの分野の「多様な効果」を考えると、これは称賛すべき目標であるとしています。
しかしながら、先進サービスが独占化されやすいことを考慮すると、競争を維持し拡大させつつ、この目標を達成しようとすることは大きな政策的課題となるとしました。
「e-Japan戦略」と小泉内閣の改革イニシアティブを基盤として、日本はさらに活力あるIT分野の発展を通じて、経済の成長と投資の拡大に大きく貢献できる政策を実施しました。
e-Japan戦略とは5年以内に日本を世界最先端のIT国家にする目的で政府が打ち出したIT基本戦略で、2001年1月に策定されました。
具体的には、超高速ネットワークのインフラ整備や、電子情報を紙情報と同等に扱う電子政府の実現などの施策を掲げています。
当時の規制改革推進3か年計画の中には、規制方法の合理化や手続きの透明性改善、またIT分野における競争の促進の確保など、電気通信分野にとって特に重要なものが含まれているとしました。
当時の日本の電気通信政策イニシアティブは、この分野を競争促進志向にすることを目指していおり、このプロセスは日本の電気通信やITの環境を改善させてきましたが、完全ではないとしています。
こうした分野は、最近改革への弾みが見受けられ勇気づけられるが、米国は日本が競争促進体制の制度化と実施のプロセスを完了するよう求めました。
競争促進として日本政府は、電気通信事業の公正競争の一層の促進を図るため、市場支配的な電気通信事業者の反競争的行為を防止、除去する非対称規制の整備や電気通信事業紛争処理委員会の設置等を行う電気通信事業法等の一部を改正する法律案を国会に提出しました。同法律案は、2001年6月15日に成立しています。
非対称性規制制度は、事業者に応じて異なる規制をかけることで、競争の促進を目的に、市場を支配する大手事業者への規制に比べ、新規参入者への規制を大幅に緩和することが可能です。
非対称規制について、反競争的セーフガードは、第一種指定(地域固定系)電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者と第二種指定(移動体系)電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者であって、市場シェアやその推移その他の事情を勘案して、総務大臣から指定を受けたものに適用されました。
規制は接続により得られた情報の目的外利用・提供や、特定の電気通信事業者に対する不当に優先的なまたは不利な取扱い、電気通信設備の製造業者若しくは販売業者またはコンテンツ・プロバイダーに対する不当な規律・干渉を禁止行為類型として明確化するとしました。
そのような行為に対処するため、改正された法律の下に、違反行為を速やかに是正することを可能にする効果的な措置(行為の停止・変更命令)が整備されました。
改正された法律は、指定された地域固定系ネットワークを有する電気通信事業者とその親会社、子会社や兄弟会社に該当する電気通信事業者の中から総務大臣が指定するものとの間の法的ファイアウォールを規定するとしています。
このファイアウォール規定は、役員兼任の禁止や、接続に必要な建物・施設の利用と情報提供の同等性確保、各種業務の受託に当たっての同等性確保などがあります。
改正された法律の下に、その違反行為を速やかに是正することを可能にする効果的な措置(過料または行為の停止・変更命令)と指定された地域固定系ネットワークを有する電気通信事業者に対する遵守状況の毎年の報告義務が整備されるとしました。
指定された地域固定系ネットワークを有する電気通信事業者の契約約款(届出制になっている、ユーザ料金を除く)と接続約款、共用協定は認可とし、それ以外の事業者の契約約款や接続協定、共用協定は認可を要せず届出となるとし、届出事項は関連省令に規定されました。
また、指定された移動体系ネットワークを有する電気通信事業者の接続約款については作成・届出・公表を義務付けられました。
接続約款が能率的な経営の下における適正な原価を反映していないと認められる場合には、変更を命ぜられることがあるとしています。
総務省は、上記の法律の公布後、法律に定めるところに従い、情報通信審議会に諮ることにより、省令の改正を行い、審議会は、必要に応じて意見招請を行うとしました。
デジタル大辞泉(小学館)
ASCII.jpデジタル用語辞典
をもとに作成
- 関連記事
-
- 第4回日米規制緩和対話と日本側の対応その2(貿易摩擦シリーズ)
- 第4回日米規制緩和対話と日本側の対応その1(貿易摩擦シリーズ)
- 第3回日米規制緩和対話と日本側の対応その65(貿易摩擦シリーズ)
- ネット証券のチャートツールとの併用がおすすめな、便利なチャートツールをご紹介いたします。ぜひ次のリンクをクリックしてお試しください。 早速試してみたい方はこちらをクリック