第4回日米規制緩和対話と日本側の対応その23(貿易摩擦シリーズ)
- 2020/03/12
- 06:40
第4回日米規制緩和対話と日本側の対応
・競争政策及び独占禁止法その4
米国政府は競争と規制改革について、もしも日本の規制改革の達成に向ける努力がその経済の再活性化の成功のためであるなら、日本は非公式な行政指導や民間の規制強化により阻害されることのない真の競争の促進を優先させなければならないとし、真に規 制改革の成功を促進するため、米国は日本に提言を行いました。
反競争的行政指導と民間の規制強化の防止として公取委の追加的人的資源を、規制が撤廃・緩和された分野の監視に当て、政府の規制が反競争的行政指導や「民民規制」による民間規制強化によって取って代わられることがないようにするとしました。
また、規制産業における競争の促進では、電力・ガスの分野に有効な競争を導入し、維持するため、公取委は経済産業省との共同作業をさらに進めることや、電気通信分野に有効な競争を導入し、維持するため、公取委と総務省との間のさらなる協力を奨励するとしています。
運輸交通の分野に有効な競争を導入し、維持するため、公取委と国土交通省の間の共同作業を促進し、規制改革について日本市場における規制の削減と競争の促進のために必要な措置を明確にするため、公取委と総合規制改革会議の共同作業を促進するとしました。
特殊法人の民営化では特殊法人(認可法人ならびに公益法人を含む)の構造改革と民営化が、競争を阻害することなく、むしろ強化するような方法で、達成されることを確保するとし、それには、公取委がそのような民営化や再編成の計画について、競争政策の観点から、取り組みを見直し助言を提供することをも含めるとしています。
さらに、製造業者と流通業者の株式持ち合い「高度寡占産業」における、製造業者と流通業者の間の財政的関係の範囲と形態について、公取委による審査を開始し、それには、株式の持ち合い、貸し付けの規定、他の資金源、社員、施設そして設備の共有も含まれることとするとしました。
高度寡占産業とは、小数の企業が市場の大部分を占めている産業であり、従来から価格の下方硬直性と、排他的な流通政策、価格の同調的引上げなどを利用した高収益等の論点が指摘されており、競争政策的見地から関心が持たれ、各種の調査・研究が行われてきています。
一方で、業際化や国際化の進展等の状況変化において、これら産業についても市場の範囲や境界が動きつつあるとの指摘もあることから、調査・検討においてはこうした状況変化を踏まえて検討が行われました。
規制緩和が進行している産業における競争の促進として、公正取引委員会は、規制緩和が進行している産業における、競争を促進する上で積極的な役割を果たすとしており、公正取引委員会は、2001年1月に、政府規制等と競争政策に関する研究会が取りまとめた報告書「公益事業分野における規制緩和と競争政策」を公表しました。
公正取引委員会は、所掌事務を遂行する上で必要に応じ、引き続き、競争政策の観点から、電気、ガスを含め規制緩和が進行している公益事業における、調査、研究や政策提言を積極的に行い、電気通信産業における商慣行に係る独占禁止法のガイドラインを策定中であるとしました。
また、公正取引委員会は、ガイドライン原案を公表し、成案を公表する前にパブリック・コメントを行うとともに、当該コメントを考慮するとし、 日本語版の公表と同時に、ガイドライン原案の英語訳も公表されるとしています。
公正取引委員会の政府規制等と競争政策に関する研究会は、2001年末までに、電気通信と放送の融合分野における競争促進のためのアドバイスを含むことが予期されている報告書を公表するとし、公正取引委員会と総務省は、ガイドラインと一体化するであろう共同ガイドラインの策定を含め、電気通信分野における競争を促進する観点から、協力するための行動をとる努力を行うとしました。
また、公正取引委員会は、電気通信、電力、ガスなど規制緩和が進行している産業における独占禁止法違反行為に対して審査・執行を行うため、審査局にIT・公益事業タスクフォースを設置しました。
タスクフォースへは、公正取引委員会のウェブサイトを通じて連絡をとることができ、また、独占禁止法違反に係る申告を直接タスクフォースに出すこともできるとしています。
公正取引委員会のリソース増強について2001年度において、公正取引委員会の職員数は、審査活動や審査能力を強化するため、11名が増員され、この増員分は、主に審査局に配属されることとなるとしました。
2001年6月26日に閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(基本方針)」において、日本政府は、公正取引委員会の体制を強化し、その機能を充実させ、競争政策を強力に実施することとされています。
競争促進のための実態調査では、公正取引委員会は、2001年度に1つ又は複数の分野について実態調査を行うとし、調査対象分野としては、高度寡占産業を含む可能性があるとしました。
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