第1回日米規制改革イニシアティブその27
- 2020/06/30
- 06:39
第1回日米規制改革イニシアティブ
・商事法制その1
資本構成の柔軟性として、会社の資本構成の柔軟性を高め、会社が資金やサービスを調達し経営者や被雇用者にインセンティブを与える手段を改善するため、商法は改正されました。
5万円の最低発行価額や株式分割の際における一株当たり純資産額の制限を含む株式単位に課せられていた制限を緩和し、トラッキング・ストックの発行を認めました。
トラッキングストックとは、特定の事業部門の業績にリンクした株式のことで、「ターゲティッドストック」と同義語です。
トラッキングストックを購入する投資家には、同社の当該事業に限定して投資を行なう機会が提供され、普通株式にある配当・議決権・残余財産分配請求権などと異なり、発行ケースにより様々な条件が設定されています。
基本的にはトラッキングストックとして発行された事業の業績に基づいて配当が支払われ、議決権については、普通株式の議決権を基準として、企業全体の時価総額に占める同事業部門の時価総額の割合に応じて変動させるなどの形がとられます。
日本では2001年、ソニーがインターネット接続サービスを行なうソニーコミュニケーションネットワークについて発行された例があります。
商法の改正で、議決権制限付株式の発行を認め、当該株式の発行数は発行済株式総数の二分の一を超えてはならないこととされました(改正前は、会社は無議決権株式を除きそのような種類の株式を発行することはできず、発行することができる数は発行済株式総数の3分の1までに限定されていました)。
議決権制限付株式とは、議決権を行使できる事項に制限がある株式のことで、特に一切の事項について議決権が行使できない株式を無議決権株式といいます。
会社は株主総会において議決権を行使できる事項について異なる定めをした内容の異なる株式を発行することができ、発行は定款をもって定めなければなりません。
株式投資の普及に伴って増加した、議決権の有無より利益の分配や株価の値上がりを重視する株主に適した株式として採用され、かつては無議決権株式とするのは利益配当に関する優先株にかぎられ、発行数も総株式の3分の1以内にかぎられていました。
また、議決権も全部あるか全くないかの区別しかなかったが、2001年の商法改正により、まったく議決権のない完全無議決権株式のほか、議決権の一部を制限する議決権制限株式も発行できるようになりました。
日本政府は、ストック・オプションの発行に課せられていた制限を実質的に緩和し、ストック・オプションを付与することができる者の範囲について、発行会社の取締役と使用人に限定していた制限を廃止し、会社が発行するストック・オプションの量についての制限を廃止しました。
さらに、ストック・オプションの譲渡や、一定の数の取締役または監査役についての選解任権を付与された新しい種類の株式を譲渡制限会社が発行すること、現物出資の際の資産の評価について、裁判所が選任する検査役の調査に代えて、弁護士や、公認会計士、または税理士等の専門家による証明書を使用することを認めました。
当該専門家には厳格責任は課せられていません。
ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で自社株を購入できる権利のことで、会社の役員や従業員に対する報酬形態の1つです。
株価が上昇した時に売却すれば、株価と権利行使価格の差額が利益となるため、会社のために働くことが自社株の上昇、さらには自分の利益にもなるため、社員のモチベーション向上にも有効とされています。
日本では、1997年の商法改正以降、高い報酬を支払えないベンチャー企業などを中心に、導入する企業が増えています。
ASCII.jpデジタル用語辞典
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
をもとに作成
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